プロジェクト概要
山口市の新たな教育モデルとして始まった授業開発プロジェクト

プロジェクト概要

概要

山口市ならではの新たな教育モデルを創造し実践する授業開発プロジェクト「やまぐち子ども未来型学習プロジェクト」は、文部科学省の「GIGA スクール構想」に基づき、山口市立小中学校の子どもたちにタブレット型パソコンを配備したことを契機に始まりました。このプロジェクトでは、ICT化が進む教育現場において、長年にわたって「未来の山口の授業」という新たな教育モデルを実践してきた山口情報芸術センター[YCAM]と、山口市の小学校に対してプログラミング教育の普及などを実施してきたファブラボやまぐち、そして小・中学校の教員、児童・生徒とともに授業の開発に取り組んでいきます。

これまでに開発してきたオリジナルの教育プログラムは、情報の整理・比較、発信・伝達から共有する力など基本的な操作能力やプログラミング的思考などの情報活用能力をはじめ、日常生活に新たな視点をもたらし、メディア・テクノロジーの活用によって可能となる表現や、物事を捉える創造力の向上にもつながるよう設計されています。

こうした好奇心を刺激する体験型の教育プログラムは、キッズデザイン賞を受賞するなど外部からも高い評価を得ています。

  • キッズデザイン賞

    キッズデザイン賞2023

    「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン/リテラシー部門」で経済産業大臣賞(優秀賞)受賞

  • グッドデザイン賞

    グッドデザイン賞2023

    受賞 審査委員一人ひとりが個人的なお気に入りや注目した受賞デザインを選ぶ「私の選んだ一品」(山出 淳也氏)選出

  • 日本 e-learning大賞

    日本 e-learning大賞2022

    『360°図鑑』が文部科学大臣賞受賞

3つのポイント

  • 01

    教員と子どもたちとともにつくるボトムアップな「手作りの授業」

    教員や子どもたちと一緒に授業をつくっていくことを大切にしています。まだ世界のどこにもない授業だからこそ、トライアンドエラーを通してできるDIYな授業開発です。

  • 02

    地域、社会全体で教育を支えるプラットフォーム

    時代とともに変化する教育モデルのトライアルとして、学校現場だけが教育の担い手になるのではなく、地域の組織や団体、研究者やクリエイターもこれからの教育づくりを支える一員となることで、継続性や発展性の向上を目指しています。

  • 03

    メディアアートの教育への応用可能性を探究する

    メディア・テクノロジーを活用した新しい表現、その知見やノウハウを活かして教育活動へと応用することは、同時にメディアアートの教育への応用可能性を探究することにもつながっています。

教育現場の課題

教育現場の課題

社会がめくるめく変わる中、教育や授業のあり方も劇的に変わっています。 テクノロジー分野においても日常で目まぐるしい変化が起き、GIGA スクール構想をはじめ、教育現場の ICT 化に対応した授業開発が求められますが、変化が急速に進むため、学校現場だけで対応するのは難しい状況が、山口に限らず各地での課題でもあります。

どのように地域で支えられるのか?

エンジニア、教育委員会、教育現場、アートセンター、Fabラボの連携

そこで、テクノロジーとアートの関係を探求し、教育に活かす取り組みを長年にわたって続けてきた山口情報芸術センター[YCAM]、山口市の学校に対してプログラミング教育の普及などを実施してきたファブラボやまぐちとともに、「やまぐち子ども未来型学習プロジェクト(YCAM名称:未来の山口の授業 at School)」がスタートしました。

これからも地域発の個性的な教育モデルの構築を目指し、開発した授業プログラムを多くの学校で実施したり、さらに新しい授業も生み出される予定です。

プロジェクトメンバー

山口情報芸術センター[YCAM]とは?

山口情報芸術センター外観 撮影:山中慎太郎(Qsyum!)

山口情報芸術センター[YCAM]は 2003 年の開館以来、メディア・テクノロジーを用いた新しい表現の探求を軸に、展覧会や公演、イベント、ワークショップや映画上映など、多彩なプログラムを展開してきました。

カラフルな光が床に照らされている
イスラエル・ガルバン+YCAM《Israel & イスラエル》(2019年)撮影:守屋友樹
起伏のある床の上で子供達が遊んでいる
コロガル公園コモンズ(2018年)撮影:山中 慎太郎(Qsyum!)
白い部屋に等間隔でセンサーとカメラが設置されていて、鑑賞者を監視している
三上晴子《欲望のコード》(2010年)撮影:丸尾隆一(YCAM)

同時に、これらの過程で培ったノウハウを他の分野へと社会応用する試みにも取り組んでいます。そのひとつとして、「未来の山口の授業 at School」のような教育分野への展開が挙げられます。

メディア表現の探究と社会への応用

2016 年度から YCAM の研究開発プロジェクトや作品制作の過程で得たテクニックや知見を活かして、小中学校で実施できる教育プログラムの開発と、それを次世代につづく新しい教育モデルとして全国に発信する取り組み「未来の山口の授業」をはじめました。

2021 年度からは、山口市教育委員会と協働でおこなう「やまぐち子ども未来型学習プロジェクト」の一環として実施を継続しています。

ファブラボやまぐちとは?

ファブラボやまぐちは、レーザーカッターや 3D プリンタなどのデジタル工作機械を備えた、オープンな市民工房です。工房の運営のほか、山口市の学校に対してプログラミング教育の普及などを実施してきました。

ファブラボやまぐち 提供:ファブラボやまぐち

使用写真について 撮影:塩見浩介 ※個別にクレジットの記載がある写真以外