概要
未来の授業パートナーとは、やまぐち子ども未来型学習プロジェクト(YCAM 名称:未来の山口の授業 at Sschool)の取り組みに賛同し、自社の技術やノウハウを活かして、現場での実践や事業評価の研究、授業カリキュラムの企画などを、本プロジェクト向けにアレンジし、メディア表現やアートプロジェクトの視点からともに作り上げていく組織や企業のことを指します。
共同研究
パナソニック ホールディングス(株) × 中山晴奈(フードデザイナー)
家庭科とプログラミングを組み合わせた授業。YCAM とパナソニック ホールディングス(株)、フードデザイナーの中山晴奈とともに「創造的な発想」が生まれるプロセスについて共同研究をおこないました。
生徒たちは家庭科の授業で、プログラミングで温度や加熱時間を自由にコントロールできるプログラミングトースターを使って、いろんな焼き方を試しながら、新たなレシピやアイデアを発見していきました。
YCAM との共同開発においては、授業の過程の記録と、生徒へのインタビューを繰り返し分析することで、「創造的逸脱」というキーワードを導き出しました。
パナソニックの研究者・高田和豊氏、フードデザイナー・中山晴奈氏、YCAM の担当・会田大也との議論の中で、私たちは次のような学びのプロセスに着目しました。すなわち、学習者がオーソドックスな手順から時に逸脱しつつも、小さな仮説と検証を繰り返すことで、思いがけない創造性に到達する可能性があるということです。
本研究は、国際学会「CONSTRUCTIONISM 2025」にて発表予定です。
共同開発
萩原健一(秋田公立美術大学 准教授)
フレットアニメとのコラボレーション
複数の映像同士や、映像と空間をつなげたメディア表現を学ぶ「うご板」と、萩原健一(秋田公立美術大学 准教授)が考案したカリキュラムで、1 枚の平面上に区切られた部分をカメラが順番に抽出し表示することで即興的に〈うごき〉を作り出すアニメーションの制作手法「フレットアニメ」がコラボレーションし、中学校の文化祭でデジタル壁画「face to face」を制作。
生徒たちはチームに分かれ「目」や「口」、「眉毛」などそれぞれ顔のパーツを担当し、協力してひとつの大きな顔になるアニメーションを作りました。 制作の過程で生徒たちは、物や体の動きなどの運動構造への関心を深めることや、メディアや身近なものを活用した新たな表現方法を体験しました。
フレットアニメとは
撮影:塩見浩介、萩原健一(秋田公立美術大学)
フレットアニメとは、失敗の状態がなく、いつでも改変可能なアニメーションの制作手法です。机に置いたものをタブレットのカメラがリアルタイムに 4 分割で撮影し、アニメーションとして反映します。このアニメーション制作手法は萩原健一(秋田公立美術大学 准教授)が考案しました。いつでも改変可能なアニメーションなので、制作者である生徒たちは失敗を恐れず、絵の得意不得意やアニメーション作画の経験の有無に関わらず、誰しも気軽にアニメーション原理を学びながら制作に取り組むことができます。
提供:萩原健一(秋田公立美術大学)
山口情報芸術センター[YCAM]、株式会社 HAUS との共同開発によって、萩原が考案した従来のアニメーションの生成に必要な大型の撮影装置(外部カメラ、照明、モニター、専用 PC 等)をタブレット端末ひとつに完結させ、より汎用性の高いアプリケーションが完成しました。 これにより、小中学校による導入の簡略化・低コスト化への要望に答え、実施しやすいメディア教材になりました。
使用写真について 撮影:塩見浩介 ※個別にクレジットの記載がある写真以外